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記憶のかけら、今だから・・・

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残酷な歳月・・・(小説)

(19)<幻の母>
大雪が降って大変な状況の中、いなくなってしまったので、とてもみんな心配したわ!。
そのあと、小屋の人たちとみんなでがずい分さがしたけど、見つからなかったのだとりつ子は話した。

「私はその後、どうしたかは分からなかったわ~」
「子供だったし、その後は山には入らなかったしね!」

それがね!、今から十五年くらい前だと思うけれど、安曇野の、ある、養護施設で、あの時の女性!、たぶん、ジュノのお母さんだと思う女の人に会ったのよ!。

私が所属していて、キリスト教会が運営している福祉施設を、うちの会社が手助けをする事になって、私は、そこの代表者になる事で、打ち合わせの為に何度か、施設に伺った時に、二~三度、姿を見ているのよ!

「ジュノのお母さんだと思う女性にね!」
「とても、不思議な気もちがしたわ!」
あの山小屋で会った時の、表情がとても印象深かったので! 安曇野でお会いした時、言葉は交わしてはいないけれど、あの時の人だと、すぐに、思い出したのよ!。

その時の、福祉施設の関係者にお聞きしたら! 教会の牧師様からお頼まれしている方で 「養護施設のお手伝いをして頂いている方です!」とはなされていたわ!

でも、私が正式に、そこの代表者になった時にはもう 「ジュノのお母さんらしい女の人は」
そこの施設には、いなかったのよ。

ジュノは、りつ子の話す事が、本当の話なのか、信じられない思いもするが、全くの作り話でもない事で、ありえる事だと思った、何かしらの手がかりがつかめた気がした。

だが、一方では、そのような事があったのなら、りつ子はなぜ!佐高さんに話さなかったのだろうと、りつ子の話した事に不安と疑問を感じた。

季節はずれの雪はどれほどの苦しみに耐えて
恐怖と闇に閉じ込められて寒さに震えながら
幻の父『ヒョンヌ」と母の呼ぶ声は届かない
心の中のすべてが父を求める母の想い
胸が張り裂けるほどの苦痛と悲しみは心を無くして行く
近づけない影を求めて今日も涙する美しき人

ジュノはりつ子の話を信じたかった、けれど、あれからもう長い歳月が過ぎて、あまりにも、孤独な時間を強いられているジュノは、母や妹の事になると、異常なほど、心が騒ぎ、時には、怒りにも似た感情を抑えることが出来なかった。

りつ子のジュノに対するいわば悪戯にも似た行為が、ジュノには耐え難い行為におもえて来て、今にも、りつ子に対して、反撃的な言葉を発する思いを必死で抑えていた。

そんなジュノを、りつ子はさすがに心が痛んだのか・・・
「あの方は、きっと!ジュノのお母様だったのよ!」
「美しい人で、今、思うと、なんとなく、ジュノに顔立ちが似ていたように、思えるけど!」
もし、なんだったら・・・
「あの時、お話した、牧師様にその後の事を、お尋ねしてみましょうか?」と!
なんとなく、取ってつけたような言葉で、ジュノに擦り寄ってきた。

りつ子のその態度が、又しても、ジュノの気持ちを逆なでしていて、益々、りつ子の事が信じられずに、ジュノを混乱させた。

ホテルのこの部屋の空気が重苦しくて、におうはずのない、鼻を突く、悪臭を感じた、窓の外の風景もきらびやかな激しい色あいの新宿の街はジュノにはただそれだけで、嫌悪感を覚える。

そして、又しても、りつ子は、ジュノにはあまりにも、とっぴ過ぎる事を口にして、平然としているばかりか、むしろ、得意げに話した!

「ジュノは、知ってるの?」
「加奈子があかちゃんを生んだのよ!」
「男の子だったそうよ!」
ロスのマークから、聞いたのですけれど!
ジュノの子供なの? それとも、あの今の若い恋人ロイの子供なのかしらね!

そんなとんでもない話を聞かされても、ジュノは、誰の事なのか、ただ聞き流しているばかりだった。
それもそのはずで、ジュノには確かな記憶ではないが、身に覚えのない事だと思いたい、だか、本当のところ、ジュノの記憶の中で、全く、違うのだと、言い切れるほどの、確かな記憶がない、抜け落ちたあの頃の事! ジュノの心はかすかな反応する!

気がかりではあっても、どこか、他人事のような、絵空事にしか感じていなかった、この時期のジュノの精神の異常さを誰も気づいてはいなかった。

どうしても、この狭いホテルの部屋に、りつ子とふたりで居る事に、耐えられず、ジュノはりつ子の名刺を受け取り、病院での診察日を連絡することにして、早く、この場を立ち去りたいと思い、必要な事だけをりつ子に告げて、急ぎ足で、ホテルの部屋を出た。

りつ子の話を信じたいと思いながらも、ジュノに対してみせるりつ子の軽薄な言葉や態度に怒りの感情がりつ子との接触を拒みたい衝動に駆られた。

だが、今は、りつ子のもたらす、情報しかない事が、ジュノには辛い現実だった!
相変わらず大杉さんの居場所が分からず、ジュノはこれから、妹をさがすべくすべをどうすればよいのかが、思いつかずに時間だけが虚しく過ぎて行く事に耐えている。

ジュノの心にいつも刺さったままの棘のような痛さで、妹の行方が気になって心配な事だ!
そんな思いの時、突然、実の父の実家、
『岡山の家は今、どうなっているのだろうか!』
と、今まで、ジュノは、実の父の故郷を考えた事がなかった事が不思議だった!

確か、父はひとり息子だったと聞いた記憶があった、実の両親は、ジュノ(寛之)にお互いの、祖父母の事や実家の事を何も話してくれなかった。

むしろ、どんな事だったか、思い出せないほどの、些細な話しを、大杉さんから、ジュノは聞いた気がする。

父や母が、どのような事情があって、自分達の生れ、育った、家や場所、そして、どんな環境なのかを、子供だった、寛之や妹の樹里に話す事が出来なかったのか、今となっては、確かめる事さえ出来ない。

ジュノは、父の生れ、育った、岡山の家を訪ねてみようとの、思いが強くなって行った。
ソウルの父から、住所だけは、聞くことが出来た、ソウルの養父母も、実の父の実家の住所だけしか分からない、写真の一枚さえない事が、とても、不思議さと言い知れぬ不安をジュノは感じた。

季節は何度も変わり通り過ぎてもこの重苦しいほどの怒り
恋しい気持ちなのか愛しい想いなのか
まだ見ぬ世界に強く引き寄せられて行く感情
蒼ざめた空をみては虚しく恋しさが募るおもい
美しき人の心がさわぐ誰が私を呼ぶのか
この世でただひとりの妹よ美しき人の心の声をうけとめて

ジュノの心はひどく混乱し、目に見えない恐怖なのか、喜びなのか、判断のつかない実の父の故郷への憧れを抱き、乱れる思いが苦しかった。

そして、あまりにもとっぴで、信じがたい、りつ子の話した事をふと、突然、脳裏を刺激して、思い出した。
『加奈子が子供を生んだ!』

その事が、ジュノの心情をかき乱すけれど、加奈子に対して、どのような態度をとれば良いのか、今のジュノには思いつかないけれど、心の中に、重石を抱えたような、苦しさがある、ふと、加奈子の姿を思い浮かべては、ジュノは心が華やぎ、加奈子に触れたあの柔らか胸のふくらみ、弾むように、ジュノの少し大きめな手で包み込む、加奈子の乳房は、いつも小刻みに震えて、喜びを伝えてくれた。

ジュノとの、その幸せを共に、何度も加奈子とのくちびるをあわせてはこの上もなく、深い、ふたりの愛を確かめ合っていたあの頃・・・

あの、なにものにも変えがたい、ふたりの交わりは、ジュノが今までに感じた事のない、特別な幸福感であったはずなのに、ジュノが、加奈子に与えた苦痛を思うとき、ジュノは今、どうすれば良いのか、迷いだけが、一人歩きしていた。

加奈子の生んだ子、どんな赤ちゃんなのだろうと、思うだけで、逢ってみたい衝動なのか、確かな、現実の事なのか!まだ、すべてを受け止められずに、ジュノ自身の心は小刻みに乱れて、戸惑いを感じる、だが、加奈子からは、何も、連絡もなかった。

ジュノと加奈子がはっきりとした、別れの言葉を交わしてはいないが、お互いの感情のすれ違いを埋める事は出来ずに、ジュノのもとを去って行った加奈子だった。

だが、ジュノも、加奈子も、心の奥深いところに、お互いへの思慕を感じながらも、もう終わった事なのだと、自分に言い聞かせていたのだ!

今の加奈子にはロイという新しい恋人との生活がある事で、ジュノは加奈子への連絡をかたくななまでに、絶っていた。
「子供が生れたとしても、かかわらない事だ!」

ジュノ自身の揺らぐ思いや定まらぬ気持ちを伝える事など、これまで加奈子に対して、ジュノが与えた苦しみを思えば、どんな些細な好意であっても、見せてはいけない事なのだと、ジュノ自身を納得させていた。

ジュノが今、行動すべき事は、妹の「樹里」をさがす事が大切!大杉さんの行方をさがして、まだ、明らかにされていない、ジュノの中にある疑問や不安を取り除かなくては、ジュノはこれからの生き方や人としての喜びを得る事が出来ない!

ジュノの感情などお構いなしに、さっそく、りつ子は、ジュノのいる病院へやって来て、必要な診察と検査を済ませて、今、正式な病状の診断結果待ちだった。
ジュノは、りつ子が胃がんであり、それも末期である事は、はっきりしたが、手術をするべきかが、迷う病状だった。

もし、手術が成功したとしても、おそらくは「半年」長くても一年の時間だろうとの診断であった。
りつ子は、地元の医師からも、おそらくは、同じ事を告げられているようで、どこかで覚悟しているようなところがあった、ジュノは、りつ子との接点を極力避けたい気持ちが強く、りつ子の主治医は別の医師に担当して貰っていたが、何かと言うと、りつ子は、ジュノに会うことを要求する。

りつ子の今後の治療方針が決まらないままに、ジュノはりつ子を避けるように、思い切った行動をとった! 実父の故郷、「岡山へ」向かった!!!

(20)<新たなる運命>
ジュノはこれからのじぶんの人生に、果たしてどんな運命が訪れるのか、全く予想もつかない恐ろしさを感じて、体の震えが止まらないほどだった。
自分の新しい希望が途轍もなく大きいように思えるのだった。

空は何処までも高く雲はゆっくりと流れて
そこにすむ人は誰ですか不思議さで惑わす出逢い
美しき人は締めつけられるほどせつなくてこの心が乱れる
幼き君を思う兄の想いは追い求めるしかない
幼い日々の愛おしさが幻の姿をみる
父と母に出会えるそんな気がする幻影

ジュノの考えも及ばない現実が、その地にはあった!
父の故郷、「岡山県、M市」

新幹線の岡山駅から、タクシーで二時間、家もまばらな、山村風景の中に、ひときわ大きな古い屋敷があった。
『ジュノは生れてはじめてみる風景、父の故郷!』

この静かな、山村、父の生家は、この地では名の知れた名家だと、聞く、ここに向かうタクシーの運転手も知っていたほどの地元では江戸時代から旧家で、名家だと、ジュノは知った。
ジュノがいろいろと思い悩む事など、無用な心配であった。

時間が早まわりするような息苦しさから、ジュノは何度も、何度も、深い深呼吸をして、「お屋敷」と言われる、その家の門の前にたった。

仕事の都合上、岡山行きを、急きょ、つくり出した時間は短い為に、ジュノは、父の実家へは、東京を発つ前に、連絡をいれた。

ジュノがどのような人物で、どのような用件で、伺うかを、話して、驚いた事に、すでに、父の実家
『蒔枝家』では、ジュノの事は知っていた。

『いつ、お尋ねくださるかと、お待ちしていました!』
との答えが返ってきたのには、ただ、驚き、ジュノは、何か言い知れない、期待感と恐怖感がないまぜに、落ちつかなさを抱えて、岡山に旅立った。

この「お屋敷」といわれる、大きな門と、古いつくりだが、どっしりとした,黒塗りの土塀が、古き良き時代をあらわし、その姿を観ただけで、ジュノは、懐かしさのような、親しみを感じた。

だが、十歳までの寛之としての記憶にはない、この風景であって、大杉さんに、子供の頃に、聞いたような、不確かな記憶から、ジュノは無意識に、思い描いていたのだろうか。

大きく、どっしりとした、門の扉はすでに開けられていて、ジュノが、この家の門の前にたった時には、すでに若い男性が迎えに出ていた。
『イ・ジュノさんですね!』 

と、言葉をかけられて、ジュノの不安を少し除かれたように、穏やかさを感じさせてくれた。
『お待ちしていました、さあ~ どうぞ!』

ジュノは挨拶を交わそうとしても、ただ、お辞儀をするだけで、言葉が出てこなかった。

見るからに、手入れの行き届いた、大きな庭は爽やかな風が通り、ジュノの緊張感を優しく、解きほぐすような心遣いを感じた。

門から続く、少し長めの敷石の通りが母屋へつづく、この家の正式な玄関なのだろうか、若い男性は静かに気品あふれた、重そうな引戸に手をかけてあけた。

風格のある、どっしりとした、黒光りする柱や、梁の太さには、ジュノは今まで見た事がない建築物で、驚きながらも、清潔感に気持ちの良い、応接間というのだろうか、懐かしい映画の世界で観た雰囲気がする落ち着いた部屋に案内された。

先ほどの若い男性がこの家の主だと、正式に挨拶があった。
お互いの挨拶を交わしたあと、ジュノは、どう話を進めようか、考えあぐねていると!
男性は、私の方から、紹介させてくださいと言って! 私は遠い親戚から、養子として、迎えられた、
『蒔枝直樹』 という者です。

ジュノは、今、祖父母は健在なのかが、とても、気になっていた事をいち早く察した、この男性は、ジュノが傷つかない言葉で、静かに落ち着いた言葉で祖父母の事を話し伝えてくれた。
やはり、祖父は十五年前に、「七十八歳で、亡くなったこと」
「祖母は、八年前に、亡くなった」と話した。

今、この家に、住む者は、「私だけなのです」と、直樹と名乗った、この男性の話だった。
直樹は、祖母から、生前に、ジュノさんのお父上の事、ジュノさんの事を、お聞きしていますので、存じていましたが、私も、どうお話すればよいのか、何からお話すればよいのでしょうか!

少し、お休み頂いたあとに、おじいさま、おばあさま、そして、お父上のお墓へご案内いたしますので、すこし、お休みください! と、言って、直樹はその場を立って行った。
ジュノの通された部屋は、造りこそ古いが、ガラス戸の重厚な造りの引き戸越しに、日本庭園風の庭が美しく見えていた。

すこし時間が過ぎた頃、直樹は、ジュノを「蒔枝家の墓所」へ案内して・・・
驚かれるでしょうが、今は、ありのまま、お参りして頂き、後ほど、お話をさせて頂きます・・・

ジュノは、直樹の落ち着き払った態度が、とても気になっていた。
今回、生れて、はじめて、訪れた!
「父の故郷!岡山!」
しかも、ジュノが、連絡するまでは、母が死んだ事も知らないはずだ!
ジュノ(寛之)も、妹の樹里も、行方不明のままだったはず!

案内された、「蒔枝家」の墓所には、驚いた事に、私、ジュノ(寛之)は死んだことになっていて、父と共に墓所に葬られていたのだった。

これはいったい,どういう事なのだろうか? ジュノはあまりにも大きなショックを受けた!
この、蒔枝家では、ジュノを亡くなった事にしなければならないほどの、事情が、それほどの事があったのか!

私は十歳だったけれど、幸せな子供時代であったし、あの事故の事も、はっきりとした記憶が!
『ジュノとして、寛之として』 確かに存在として、今、ここにいるのに!
この私の人間としての証明はどうすれば良いのか、ただ、混乱を深めて、恐怖で体が硬直して行った!

私の生きた存在を誰が消してしまったの
あの幼き日の美しき日々が消えていく
何処に行ってしまったの父の故郷のむごすぎる真実
美しき人を戸惑わせて冷たい石に刻む
惨酷な真実は私がどんな罪を犯したと言うのか
想像も出来ないほどの残酷な運命

(21)<自分の存在>
ジュノが亡くなった日とされていたのは、あの穂高での事故があった日から、およそ、一年が過ぎた時期になっていた。
その事が、これからの、ジュノの運命なのか、通らねばならぬ、「寛之」と「ジュノ」としての生き方を試されるような事が待っていたのだ。

大杉さんと言う人物の存在が、ジュノの人生の中で、
『どうすることも出来ない、心の中の重石!』

ジュノの人生のすべてをかえて、何が目的だったのか!
大杉さんの真実の姿をあきらかにする事が、ジュノの未来なのだろうか!
しかも、父の故郷と同じ、この地は、大杉さんにとっても、
『大切な故郷のはずだ!』

ジュノ(寛之)の実の父、『蒔枝伸一郎』
そして、大杉さん、そして、ソウルの養父の三人は、東京大学での親友として青春を過ごした。
ソウルの養父は韓国からの医学留学生で、実の父の一年先輩だった事は聞いていた。

故郷が実父と同じ、ごく近い地で大杉さんは育ち、中学、高校も同じ!、東京大学では、大杉さんはドイツ文学を学んだ。

だが、直樹の話では、「蒔枝家」と「大杉家」は昔からのつながりの深い、間柄だった事、大杉さん自身は、朝鮮半島で、生れて、五歳まで、朝鮮で育ち、終戦の混乱の中で、両親と共に、日本(岡山)に引き上げて来た時は七歳だったと、直樹は、生前の祖母から聞いておりますと、話した。

大杉家は、元々は蒔枝家の親戚で、蒔枝家の分家筋にあたるが、一家で、朝鮮半島に渡り、音信不通の状態が長く続いて、帰国したのは、大杉さんの両親と大杉さんの三人だけで、何も持ち帰る
ことが出来ないほど、命さえも危険を乗り越えての帰国だった事を直樹はおばあさまから何度も聞かされていましたと話した。
「身一つでの朝鮮半島からの引き上げだったとか!」

その時期に、日本の統治下の朝鮮半島に暮らしていたひとたちが誰もが体験した、悲惨な出来事が多くあった。
「太平洋戦争が、日本の敗戦が決定的になった、戦後、間もない時期で、日本も、朝鮮も混乱していた時代だった。」
誰もが、自分だけ何とか生き延びて、祖国、日本に帰れる事だけが望みのすさんだ、世の中だった。

現在の岡山では、大杉家は子供は大杉さん一人だから、大杉さんの両親はすでに他界して、空き家になってから、もう二十年もの間、誰も守る者もいない、荒れるがままに放置されている状態だと、直樹は話した。
あの穂高での事故の一年後に岡山に、帰郷して、大杉さんは、ジュノ(寛之)も、亡くなった事を、蒔枝の祖父母に報告していた。

美しき人にはどんな運命に耐えて
待っている人などいるはずもなく
傷つくだけの旅
悲しみだけの旅
記憶のない風景が広がり
美しき人を優しくつつんでくれても
心をえぐりとる現実は誰が描いたストーリー
何もかもがガラス細工
私の求める愛は何処にも存在しない
by hisa33712 | 2012-06-20 17:30 | 残酷な歳月・・・(小説)

カシャ、シャッター音が楽しい、古くて重いフイルム写真ですが私の宝物、記憶写真と眼の悪い私が今を映す感覚写真ですが観ていただければ嬉しいです、生きがいですから・・・


by hisa33712
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